
「デプスインタビューを外注したいが、費用がいくらかかるのか分からない」
「調査会社に見積もりを頼む前に、相場観を持っておきたい」
——本記事はそんなリサーチ・マーケティング担当者に向けて、デプスインタビューの費用相場と期間の内訳を整理します。あわせて、いま急速に広がりつつある AI インタビューを使うと、どの工程がどう置き換わり、費用と期間をどこまで圧縮できるのかを、実際のプロダクト画面とともに解説します。
デプスインタビュー(深層面接法)とは、モデレーター(聞き手)と対象者が 1 対 1 で行う、60〜90 分程度の深掘り型インタビュー調査のことです。
アンケートのような選択式の設問では拾えない「なぜそう思うのか」「どんな体験がきっかけか」といった動機・文脈・感情を聞き出すことを目的とします。
複数人を同時に集めるグループインタビューと比べると、デプスインタビューには次の特徴があります。
• 1 人の話を深く掘れる
— 他の参加者への同調が起きず、本音が出やすい
• センシティブなテーマに向く
— お金、健康、転職など人前で話しにくい話題を扱える
• 仮説の発見に向く
— 新商品コンセプトの受容性、購買動機の探索、解約理由の把握など
解約理由そのものの調査設計(タイミング・謝礼・匿名性)は、「解約理由調査のやり方」で解説しています。
やり方の基本は「調査設計 → 対象者のリクルート → 実査(インタビュー本番)→ 書き起こし → 分析・レポート」という流れです。この工程の多さが、後述する費用と期間に直結します。
インタビューガイドの具体的な作り方は「半構造化インタビューの設計ガイド」で解説しています。
デプスインタビューの進め方全体(質問例・よくある失敗を含む)は「デプスインタビューとは?やり方・質問例・費用まで実務で使える完全ガイド」で解説しています。
調査会社にデプスインタビューを依頼した場合の費用は、1 本(対象者 1 人)あたり 5〜15 万円 × 人数分 + 分析・レポート費が相場です。
たとえば対象者 6 人で実施すると、実施費だけで 30〜90 万円(1 本 5〜15 万円 × 6 人)、分析・レポート費を含めた総額では 50〜100 万円規模になるのが一般的なレンジです。
会社によって費用が変わる主な要因は次の 3つです。
1. 対象者の出現率
— 「特定の疾患を持つ患者」「年収 ○○ 万円以上の経営者」など条件が絞られるほどリクルート費が跳ね上がる
2. モデレーターの専門性
— 医療・金融など専門領域の経験豊富なモデレーターは単価が高い
3. レポートの深さ
— 発言録どまりか、示唆出し・提言まで含むか
デプスインタビューが高額かつ長期間になるのは、工程ごとに人手と待ち時間が積み上がる構造だからです。
トータルでは数週間〜1.5ヶ月が標準的なスケジュールです。特にボトルネックになりやすいのがリクルートと実査です。対象者と日程を 1 人ずつ調整し、モデレーターが 1 本ずつ実施する以上、「今週中に 20 人に聞きたい」といったスピード感は構造的に実現できません。
この構造を大きく変えるのが AIインタビューです。ここでは弊社の AI インタビュープラットフォーム「コルクトーク」の実際の画面で、従来工程がどう置き換わるかを 1 つずつ見ていきます。今回は例として「カフェ利用に関する消費者デプス調査」を実施しました。
インタビューの設計は、ブラウザ上のフローエディタで行います。
テンプレートを選ぶと、調査概要 → スクリーニング設問 → 対象者の割付(クォータ)→ 選択式設問 → AI が深掘りするトーク設問 → 回答確認、という一連のフローが自動で組まれ、推定実施時間も表示されます。
今回のフローは 11 ブロック・推定約 7 分です。

ブロックをクリックすると、右側のパネルで設問の文言や読み上げ後の進行方法をその場で編集できます。
スクリーニングで対象外の人を自動判定して終了させる分岐や、属性ごとの回収数を制御するクォータ(割付)も、この画面で設計できます。
従来は調査会社との往復で 1〜2 週間かかっていた設計が、その日のうちに終わります。
設計が終わったら「配信」画面で共有用URL を発行します。テスト配信で自分が回答して体験を確認してから、本番公開に切り替える流れです。QR コードやアクセスコードにも対応しています。

対象者はこの URL を開くだけで、好きな時間にインタビューに参加できます。
モデレーターの稼働に縛られないため、深夜でも早朝でも、何十人が同時でも実査が進みます。日程調整と直前キャンセルという、従来デプス最大のストレスが消えます。
参加者側の画面はこうです。選択式の設問は画面のボタンで回答し、

深掘りのトーク設問では、AI が音声で問いかけ、回答に応じて「そのカフェの名前は?」「満足だった点をもう少し詳しく」と追い質問をしてきます。
音声で答えるモードのほか、テキスト入力モードも選べます。

今回のセッションでは、「駅から近くて席が広い」と答えると AI が店名 → 満足点 → 利用のきっかけと 3 段階掘り下げ、最後に「〜という理解でよろしいでしょうか?」と回答内容の確認まで行って、6 分で完了しました。
インタビューが終わると、管理画面には録画・録音とブロック単位のタイムスタンプ付き文字起こしが自動で残っています。人手の書き起こし工程はゼロです。

上のスクリーンショットは、直前に回答したセッションの文字起こしです。AI の追い質問と参加者の回答が対話形式で残り、該当箇所の録画へワンクリックでジャンプできます。
分析画面では、インタビューの設問から分析テーブルを自動生成できます。
参加者を行として追加すると、各セルの値が回答と文字起こしから AI によって自動抽出されます。
下の画面は 10 人分の回答を取り込んだ状態で、100 セルすべてが自動で埋まっています(一番下の行が、先ほど回答したセッションです)。

選択式の回答が true/false や数値として入るだけでなく、深掘りトークの内容も「選んだ理由」「満足点と不満」のような列に要約された状態で構造化されます。
スクリーニングで対象外になった参加者は該当セルが空欄のまま区別できます。
N 人分の発言録を読み込んでコーディングする、という分析の最重量工程が大幅に軽くなります。
人件費のかたまりだったモデレーター稼働・書き起こし・発言録分析がソフトウェアに置き換わるため、費用・期間ともに従来の 1/5 に圧縮することが現実的な目標になります。
「AI に全部置き換える」のではなく、AI で広く聞き、人で深く聞くという併走が実際の活用の主流です。公開されている導入事例を 2 つ紹介します。
サイバーエージェントの宣伝本部では、ABEMAのエンタメコンテンツ調査(恋愛リアリティショー、ドラマ、アニメのコンセプト検証など)に AIインタビューを活用しています。
従来は月10 人前後が限界だった定性インタビューが月 20〜30 人規模になり、リードタイムは 2 週間から最短 2〜3 日に短縮。
「翌朝には最低 10 人分が集まる」ペースで回答が集まるといいます。
運用は「定量調査で方向性を掴み、AIインタビューで幅広く深掘りし、重要な対象者にはヒト対ヒトのインタビューを実施する」という 3 層構造。
AI が相手だからこそ、恋愛のような人に話すのが恥ずかしいテーマでも素直に話してくれる、という発見も語られています。
医療分野の調査に強い社会情報サービス(SSRI)では、多忙な医師へのインタビューに AIインタビューを活用しています。
医師のスケジュール調整でリクルートが長期化するという業界特有の課題に対し、24 時間いつでも音声で回答できる仕組みで時間の制約を排除。対面インタビュー前のプリテスト(事前調査)としての活用や、50 件規模のクイックな実施も行われています。
同社が強調するのは AI と人の「棲み分け」です。広範なインサイト収集は AI に任せ、表情の変化から機微を汲み取る対応は人間のモデレーターが担う。
AI インタビューを「定性と定量のスキマを埋める第三のドメイン」と位置づけています。
▶ 事例の詳細: 株式会社 社会情報サービス(SSRI)様の導入事例
2 つの事例から見える併走の型はシンプルです。
1. AIインタビューで N 人に広く当てる
— 従来なら 6 人だった予算・期間で数十人に深掘り質問ができる
2.回答の構造化データから仮説を絞る
— 分析テーブルで傾向とキーパーソンを特定する
3.重要セグメントだけ従来デプスで深掘る
— 人のモデレーターは、最も価値の高い対象者に集中投下する
従来デプスを置き換えるのではなく、従来デプスの打率を上げるための広い母集団づくりに AI を使う、と捉えるのが実態に近い使い方です。
』
最後に、本記事の要点を 3 行でまとめます。
• 従来のデプスインタビューの費用相場は 1 本 5〜15 万円 × 人数+分析費、期間は数週間〜1.5ヶ月
• 費用と期間の正体は、リクルート・実査・書き起こし・分析という人手工程の積み上げ
• AIインタビューはこれらの工程を自動化し、費用・期間を 1/5 に圧縮しつつ、人のデプスと併走できる
AIインタビューは「まず 1 テーマ、10 人に聞いてみる」という小さな単位から始められます。設計から結果の確認まで、本記事のスクリーンショットで見たとおりブラウザだけで完結します。
デプスインタビューの外注を検討中の方は、見積もりを取る前に一度 AIインタビューという選択肢を試してみてください。